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音作衛門道楽日記 otozaemon.exblog.jp

音楽家のお遊び


by 遊楽音作衛門
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陰影礼讃 怪しい光の夢の世界

金蒔絵は明るい所で一度にぱっとその全体を見るものではなく、暗い所でいろいろの部分がときどき少しづつ底光りをするようにできているのであって、豪華絢爛な模様の大半を闇に隠してしまっているが、云い知れぬ余情を催すのである。

そして、あのぴかぴか光る肌のつやも、暗い所に置いてみると、それがともし火の穂のゆらめきを映し、静かな部屋にもおりおりの風のおとずれのあることを教えて、そぞろに人を瞑想に誘い込む。

もしあの陰鬱な室内に漆器というものがなかったら、蝋燭や燈明の醸し出す怪しい光の夢の世界が、その灯りのはためきが打っている夜の脈博が、どんなに魅力を減殺されることであろう。

まことにそれは、畳の上に幾すじもの小川が流れ、池の水が湛えられている如く、一つの灯影を此処彼処に捉えて、細く、かそけく、ちらちらと伝えながら、夜そのものに蒔絵をしたような綾を織り出す。


谷崎の美文であります。言葉で自己の思いを表現するのが文学であるけど、改めて読み返すと、やはりスゴいわね・・
闇は瞑想を誘うか...
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by yuurakuotozaemon | 2009-09-28 00:29 | ミニ学問 | Comments(0)